■ 天体観測向けの双眼鏡
天体観測で双眼鏡を使う場合、大きく三つのターゲットがあると思います。
1.「月」を綺麗に見たい。
2.「星や銀河や惑星」を見たい。
3.「夜空」を綺麗に見たい。
この三つ、同じようですが微妙に違います。
「月」を素敵に見るには、倍率が重要で、コーティングの良さと見え味が必要です。
「星や銀河や惑星」を綺麗に見るは、レンズの大きさと倍率と見え味が重要で、収差の少なさも必要です。(もっとも、銀河や惑星がターゲットの人は、双眼鏡よりも望遠鏡の方が良いかもしれません)
「夜空」を綺麗に見るには、視界の広さと見え味が重要で、収差の少なさも必要です。
これらを総合して、天体観測には7x50の双眼鏡がベストとされてきました。
ひとみ径が7mmと大きいため、光害の少ない場所での観測で、最大限の効果を発揮するためです。(ひとみ径については下記のサイトを参考にしてみてください)
● Nikon Sport Optics | 双眼鏡の基礎知識 | ひとみ径
ところが都市部では、夜の光害の影響で、ひとみが広がるのは5mm程度だと言われています。その為、8x42や10x50といったひとみ径が5mm前後の機種にも人気が広がるようになりました。
もし、光害が少ない場所で天体観測できるならひとみ径が7mmのものを、光害が多い場所(都市部)が中心なら5mmのものを基本に探してください。
また、三脚がつけられるか否かは重要です。手ブレが起きる手持ちとは段違い……というか、微光星は三脚がなければまともに見えません。
以上を踏まえ、推奨される条件を上げてみます。
◇◇◇◇ 推奨される双眼鏡 ◇◇◇◇
◯ ひとみ径が4mmから7mmのもの : 暗い時に開くひとみを活かすのに必要です。
◯ レンズ径の大きいもの : 最低30mm、できれば50mmある双眼鏡がおすすめです。微光星をとらえることができます。
◯ 倍率が適切なもの : 手持ちだと6倍から8倍が適切です。三脚を使うなら、二十倍くらいまで可能です。
◯ コーティングが上質なもの : フレアやゴーストや収差が少ない双眼鏡がおすすめです。(もっとも、これは実際に使ってみなければ分からない部分なのですが……)
◯ 広角なもの : 「夜空」や「星座」を見たい場合、広角双眼鏡が活躍します。
◯ 三脚がつけられるもの : 三脚を使うことができればかなり多くの星が見えるようになります。
基本的に、三脚取り付け可能な7x50、8x42、10x50あたりのポロ型双眼鏡を選んでおけば大丈夫です。
後は予算と照らし合わせ、無理のないものを買うのがオススメです。(双眼鏡は大手メーカーならば、おおむね値段に性能が比例します。同じ型で、倍率も値段も似ていれば、だいたい同じ性能になります)
では逆に、選んでは行けない双眼鏡はどんなものでしょうか。
簡易説明付きでリストアップしておきます。
◆◆◆◆ 選んではいけない双眼鏡 ◆◆◆◆
X レンズ径の小さなもの : レンズの大きさは集光力に直結します。25mm以下の双眼鏡は星見にはあまり向きません。
X 倍率が高すぎるもの : 天体観測向け双眼鏡を選ぶ場合、手持ちでは10倍まで。三脚や一脚をつかって10倍から20倍というのが一般的です。間違っても、30倍や100倍といったものを買わないでください。
X ズーム式 : ズーム式双眼鏡はダメな場合が多いです。
X オートフォーカス、フリーフォーカス : その時点でダメです。
以下、おすすめな双眼鏡の具体名をあげていきます。
■ オススメの天体観測向け双眼鏡(入門編)
◇ 【入門機(定番)】 Kenko New Mirage 7x50 / 8x42 / 10x50
スペック的にはBK7プリズムでモノコートですが、これが馬鹿にできません。
持っているのは8x42ですが、下手なダハ機よりもよく見えます。
周辺部は微妙ですが、レンズ径に比例した集光力もきちんとあります。
光害のない地域では7x50、光害のある地域では10x50(あるいは8x42)がオススメです。
Kenko Tokina ケンコー 双眼鏡 New ミラージュ Mirage 10x50W
- 出版社/メーカー: Kenko Tokina
- メディア: ジュエリー
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◇ 【入門用(月見専用)】 Kenko New Mirage 16x50+三脚(一脚)
あくまで月見専門なら……ということで選んだ場合の機種です。
十六倍は単純計算すると八倍の二倍の大きさで月が見れます。(実は同じ八倍でも像の大きさが違ったりしますので、双眼鏡によって違います)
月見専用と書きましたが、星見も充分可能です。
手持ちだと絶対に手ブレするので三脚か一脚が必要です。
月が大好きな人はご一考ください。(他の方にはあまりオススメしません)
Kenko 双眼鏡 New Mirage 16×50 ポロプリズム式 16倍 50口径 スタンダードタイプ ブラック 103171
- 出版社/メーカー: Kenko(ケンコー)
- 発売日: 2005/03/10
- メディア: エレクトロニクス
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■ 天体観測向けの双眼鏡の定番機紹介
以下、名前だけですが、天体観測向けの定番機と言われているものを紹介しておきます。
ご予算と用途にあわせてお探しください。
◇ 【特殊用途】 笠井トレーディング 2.3x40 WideBino 28
◇ 【定番機】 Nikon 7x50 SP / 10x50 SP
◇ 【定番機】 Fujinon 7x50 FMT-SX / 10x50 FMT-SX
◇ 【高級機】 Nikon 18x70T
◇ 【高級機】 Canon 18x50IS
■ このブログの天体観測関連記事
このブログで過去に紹介した天体観測向けの双眼鏡にかかわる記事を紹介しておきます。
この記事で紹介してきた切り口とは違う角度から双眼鏡を紹介しています。